とべ動物園は、愛媛県伊予郡砥部町にある県立の動物園です。入園料は大人一人600円(2025年5月時点)と手頃でありながら、ここでしか見られない希少な動物たちを間近に観察できるのが最大の魅力です。
2025年5月に訪問した体験をもとに、この記事はこれから訪問する方向けに、珍しい動物や園内の楽しみ方を分かりやすくまとめています。
入園料 | 大人:600円 高齢者:300円 高校生:200円 小中学生:100円 幼児・障害者手帳をお持ちの方:無料 |
営業時間 | 9:00~17:00 最終入園時間 16:30 |
休園日 | ・毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌平日) ・年末年始(12月29日から1月1日) |
目次
1. 日本でここだけ!とべ動物園でしか見られない動物たち
(1)パプアヒクイドリ:ど派手な見た目と危険な魅力に注目

パプアヒクイドリは、頭に小さな冠をもち、顔は鮮やかな青色、体はダチョウのような黒い羽根で覆われた、飛べない大型の鳥です。
同じヒクイドリ属のオオヒクイドリとの違いは、首の肉垂(にくだれ)の数。パプアヒクイドリが1つなのに対し、オオヒクイドリは2つあります。とべ動物園では隣同士に展示されているため、見比べるのに最適です。どちらも男の子で、お名前はサツキとカンタだそう(どちらがどちらなのかは判別できず…)。

なお、パプアヒクイドリを含むヒクイドリ属は「世界で最も危険な鳥」と評されており、その恐竜のような脚から繰り出されるキックは極めて強力だそう。ちなみにとべ動物園で飼育されているヒクイドリは檻の中にある木を蹴っているそうなので、檻の中の木を観察するとそのキックの威力がわかるかもしれません。

今回、このパプアヒクイドリを観察したくて訪れました。
観察すると、本当に美しくて感動しました!
(2)ムーアモンキー:日本国内で飼育される最後の1頭
ムーアモンキーは、インドネシアのスラウェシ島のごく一部にしか生息しない希少なサルです。とべ動物園で暮らすアムーさんが日本国内で飼育される最後の1頭で、ここでしか会えません。
見た目の特徴は、ずんぐりとした体つきと極端に短い尾。体の色は濃い茶色から黒色ですが、年をとると白い毛が目立ってくる場合もあるそうです。
とべ動物園では、クロザルやベニガオザルといったその他の絶滅危惧種のサルも飼育されています。種類ごとの姿や行動を見比べることで、サルたちの多様さや、野生動物の保全の大切さを体感できます。
2.どこにどんな動物がいる?とべ動物園の動物一覧・マップをもとにざっくり紹介
大人2人、夫婦でじっくりととべ動物園を巡れば、開園から閉園まで丸一日楽しむこともできます。
とべ動物園は全国的にも広めの動物園で展示されている動物は140種類以上であり、敷地は約11.2ヘクタール。広さに関していえば東京ドーム(約4.7ヘクタール)の約2.4倍、標準的な小学校の校庭ならおよそ20面分にあたります。
ここでは、限られた時間で効率良く楽しみたい方に向けて、とべ動物園の動物をエリアごとにざっくりと紹介します。
(1)ライオンやキリン、ゾウなどの子どもに人気の動物:アフリカストリート、ゾウストリート

アフリカストリートは、アフリカのサバンナを再現したパノラマ展示が見どころで、リアリティに余念がないのは広大な敷地を有するとべ動物園だからこそ。ライオンやキリンなどの大型動物がのんびりと過ごす様子を観察できます。

ゾウストリートではアフリカゾウが展示されています。なお、親子のアフリカゾウを観察できるのはとべ動物園だけ。さらに、そこには飼育員のみなさんの愛情なくしては語れないストーリーがあります。
「媛(ひめ)」と「砥夢(とむ)」は、お父さんの「アフ」とお母さんの「リカ」の間に生まれました。アフとリカは南アフリカ共和国のゾウ孤児院からとべ動物園にやって来た経緯があり、飼育員たちは親を失った境遇に思いを寄せながら深い愛情を注ぎました。その思いに応えるように、2頭は次第に目の輝きを取り戻していったといいます。
やがてリカは母親となり、2006年に媛を出産しました。しかし、育児経験のないリカには育児が分からず、抱き上げてもすぐに落としてしまい、それでも媛が目の前からいなくなると辛そうにするなど苦しい日が続きます。そんな媛を支えたのも飼育員たちでした。リンゴを鼻でつかむこともできなかった媛に寄り添い、共に生活しながら丁寧に一つひとつを教えました。
そして2009年、転機が訪れます。アフとリカの間に第2子の砥夢が誕生しました。砥夢はリカが母親として自らの手で育て上げ、媛は弟と一緒に遊ぶ中でゾウとしての社会性を学び、リカも母性を育みました。
アフは残念ながら2016年に亡くなっていますが、骨格が展示されているなど、偉大なお父さんの軌跡を感じられます。

(2)レッサーパンダやカワウソなど癒し系の動物:リトルワールド

リトルワールドは愛らしい小獣類がたくさんいるエリアで、デートで訪れるならおそらく外せません。
シセンレッサーパンダの「砥々丸(ととまる)」は、丸顔が愛らしい男の子で、とべ動物園の人気者。
修学旅行中の中高生たちが「砥々丸~!」と熱烈に声をかけていた姿を目にしたほどで、その人気ぶりが伝わってきます。ほかにも、コツメカワウソが元気に動き回る様子を観察でき、癒しのひとときを過ごせます。
なお、とべ動物園の前進となった道後動物園は過去にニホンカワウソを展示する日本唯一の動物園でした。
ニホンカワウソは2012年に環境省から絶滅宣言が出されましたが、愛媛県内では今も生存の可能性を信じて調査が続けられています。
(3)ニホンザルやチンパンジーのユニークな仕草を見たい:モンキータウン、アジアストリート
モンキータウンはその名の通り、多様なサルが展示されています。その数、なんと19種類(2025年8月時点)。
たてがみが印象的なシシオザルや、歌舞伎役者のようなマンドリル、知名度の高いチンパンジーなど。
気候の良い時期であれば、毎日12時あたりからオランウータンの空中散歩「オランウォーキングタイム」を見ることもできます。
また、アジアストリートにはサル山があり、50頭以上のニホンザルが暮らしています。
じっくりと観察していると、はしごを登ったり、仲間同士でコミュニケーションをしていたりなど生活の営みを観察できます。
(4)爬虫類や鳥類がお好きなら:スネークハウス、ウォーターストリート

とべ動物園は、エキゾチックアニマルも多数展示されています。
スネークハウスにはマレーガビアルやイリエワニなどの大きなワニや、アルダブラゾウガメやケヅメリクガメなどの大型のリクガメも展示されています。
特に珍しい生き物は、アルビノのニホンスッポンのビーノさんです。アルビノ個体は他にも展示されており、ビルマニシキヘビのマツリさんも全体的に白い色味をしています。

3.人気者は日本初の人工哺育に成功したホッキョクグマ「ピース」

ホッキョクグマのピースさんは、1999年12月2日にとべ動物園で誕生したメスのホッキョクグマです。
大きな身体はホッキョクグマそのものですが、とべ動物園で誕生し、飼育員さんの愛を受けて育っているからか、どこか甘く愛らしい顔立ちをしています。
ピースさんは飼育員さん・髙市さんの自宅でも飼育され、そんな異色の過去は、『どうぶつ奇想天外』で全国放映され話題になりました。この映像に登場するピースさんは、ふわふわの天使そのものです。
ここでは、そんなとべ動物園のアイドル的存在のピースさんについて紹介します。
(1)人工哺育のホッキョクグマの生存記録を更新中
とべ動物園の公式サイトによると、ピースさんが誕生した時点の国内でホッキョクグマの出生は122頭報告されていましたが半年以上の生存は16頭。さらに、人工哺育(動物の母親の代わりに人間が人工的に子を育てること)の成功例がまったくなかったなかで母親が育児放棄をしてしまったそうです。
そんな中で、髙市さんが愛情と工夫を注ぎ続けた結果、ピースさんは元気に成長し、現在も人工哺育で育ったホッキョクグマとして貴重な生存記録を更新しています。
飼育下での寿命が25~30年とされるなか、ピースさんは2025年5月時点で25歳を迎えており、その存在自体が奇跡といえます。
(2)持病のてんかんの予防の取り組み
ピースさんは3歳からてんかんを発症し、突然プールに転落したそうです。
そんな異変にもいち早く気づき、溺れそうになったピースさんを抱えあげたのも髙市さんでした。
てんかんは、脳の神経細胞の一部が異常に強く興奮してしまうことで、発作を繰り返す病気です。症状の種類はいくつかあり、以下のような症状があります。
- けいれん発作:体が硬直したり、全身がガタガタと震える。
- 意識の喪失や混乱:一時的に意識を失ったり、ぼんやりして反応が鈍くなる。
- 部分的な発作:体の一部(例えば顔や前足など)だけが痙攣する。
参考:https://www.neurology-jp.org/guidelinem/epgl/tenkan_2018_01.pdf
なるべくストレスをかけないよう展示するなど、さまざまな取り組みがなされるなか、ピースさんのてんかん予防の取り組みで注目されているのが、アザラシオイル(オメガ3脂肪酸)の服用です。
犬のてんかんも抑えられた実績※ もあり、髙市さんはピースさんにアザラシオイルを与えることを提案したそうです。
実際に、アザラシオイル50ccを1日1回服用し始めてからピースさんのてんかんは発症しなくなったそうで、とべ動物園と東京大学が連携しながら研究を続けています。これはピースさんのてんかん発症の原因につながる可能性があるとともに、その他の動物やヒトにも活かせる可能性も秘めるとして注目が集まっています。
※参考:イヌの特発性てんかんに対する高用量DHAの効果|日本脂質栄養学会
(3)2025年5月時点:相変わらず人気者で、ピースさんも元気な印象
2025年5月にとべ動物園に訪れたとき、ピースさんが展示されている場所に人だかりができていました。
また、とべ動物園の公式サイトでは「今日のピース」などのピースさん主体の発信も多く行われています。
現地に訪れるのはもちろん、遠くからでもピースさんの暮らしを観察することが可能です。
3.魅力がいっぱい!とべ動物園の楽しみ方
ここでは、実際に訪れたときに感じた魅力をもとに、とべ動物園の楽しみ方の一部を紹介します。
※2025年8月時点の情報ですので、イベント目当てに訪れる場合には必ず公式サイトの情報をご確認ください。
(1)ふれあい広場の無料イベントは毎日開催で0歳から楽しめる
ふれあい広場の無料イベントとは、テンジクネズミ(モルモット)とのふれあいイベントです。
2024年4月から毎日開催されており、平日4回・土日祝8回の高頻度で行われるため、このイベントを軸に訪れる場合も低負担でスケジュール調整が可能です。
全年齢で参加可能ですが、小学校3年生以下の参加者は必ず保護者同伴である必要があります。
(2)ペンギンの餌やりは無料で見学できる

ペンギンのお食事タイムは、火曜・木曜~日曜で見学できます。
餌やり中のペンギンの動きを観察すると、それぞれに個性があることがわかります。
ひたすら餌を求める活発なペンギンや、終盤になったのを見計らってから飼育員さんにおねだりする賢いペンギンなど。
ペンギンのお食事タイムが開催される水槽はとても見渡しやすく、ヨチヨチ歩く姿からするとビックリ仰天なペンギンの泳ぐ速さにも注目です。
(3)餌やり体験やナイトズーなどの不定期イベントも盛りだくさん
ゾウ様のブランチやヒポヒポランチ、キリンの瞳に大接近は、実際にゾウやカバに餌やりをできる貴重な体験イベントです。
こちらは、開催時間にイベント実施場所へ行くだけでは参加できません。
定員制の不定期イベントなため、イベント整理券販売時間を含めた開催スケジュールを確認しましょう。
有料ですが1回300円~500円ほどの良心的な価格で参加できます。思い入れのある動物への餌やり体験は一生の思い出になるかと思います。
また、ナイトズー(夜の動物園)では普段は見られない夜の動物たちを観察できます。
こちらも不定期開催です。気になる場合にはとべ動物園の公式サイトでの告知を確認しておく必要があります。
なおナイトズーの入園料は通常時と同じです。
(4)とべもりジップラインは子ども1300円~で小学4年生・体重25kg以上から楽しめる
とべもりジップラインとは、えひめこどもの城・とべ動物園を結ぶ、四国最大級のジップラインです。
ワイヤーロープを滑車ですべり降りるダイナミック体験ができます。とべ動物園側スタートの料金は以下のとおりです。
運行時間 | 10:00~16:00 |
料金 | 大人:2,700円 満65歳以上:1,300円 高校生:1,300円 小学4年生以上中学生以下:1,300円 |
休み | 月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始 |
備考 | 要予約(事前にWeb予約が必要) |
筆者は高所恐怖症なので参加できませんでしたが、実際にジップラインで滑っている人の様子を見ると、山と山を鳥のように移り飛ぶような体験ができそうに思いました。

このジップラインができたら、
一皮剥けられそうな気がします…!
(5)展望レストラン SKY GARDENととべまるカフェはコスパも満足度も期待できる
展望レストラン SKY GARDENは、とべ動物園の最奥にあり、園内を見渡せる景観の良いレストランです。
ぞうさんプレートやちびっこ・ピースカレーなどの可愛いメニューが揃い、大人向けには魚の煮付け定食やハンバーグランチといったボリュームのある料理も楽しめます。観光地のレストランとしては価格が良心的なのも嬉しいポイントです。
ぞうさんプレート | 850円 |
ちびっこ・ピースカレー | 680円 |
魚の煮付け定食 | 1,000円 |
ハンバーグランチ | 950円 |
ピース・ストロガノフ | 980円 |
また、とべまるカフェではソフトクリームやフランクフルト、あげたこ焼きといった軽食を購入できます。こちらもコアラソフトやくまさんソフトなどの動物モチーフのメニューが展開されており、動物園気分をさらに盛り上げてくれます。
(6)お弁当の持ち込みが可能なのでピクニック気分のときにもぴったり
とべ動物園では園内には何か所か屋根付きの休憩場所があるので、園内でお弁当をいただく場合にはそちらが妥当な選択肢となります。
ただし、お酒類の持ち込みや飲酒は禁止されているので注意しましょう。
(7)タイミングが合えば、飼育員さんに話しかけてみるのもアリかも?

上記の張り紙は、園内のどこかの屋内で見かけたものです。
忙しくされていないタイミングを見計らって、飼育員さんに話しかけてみるのも良いかもしれないと思いました。
4.まとめ・あとがき:とべ動物園、1回行けばファンになりました
パプアヒクイドリの観察がとべ動物園へ行くきっかけでしたが、完全にとべ動物園のファンと化しました。
かわいい・かっこいいだけで終わらず、動物への愛や自然保護の大切さをやさしい目線で教えてくれるのが素敵なところです。
「知れば知るほど魅力につながる」そんなとべ動物園へぜひ行ってみてください。