ホテル川久は和歌山県白浜町にある、世界中の芸術を集めた唯一無二の世界観が魅力の高級ホテルです。豪華な建築や王様のビュッフェで知られる一方、価格が高めなことから最悪評価の口コミや大きな事件の有無に戸惑う声も見られます。
今回は、2025年6月に夫婦で実際に宿泊した体験をもとに、よかった点・気になった点を正直にレビューします。宿泊を検討している方が、料金やプラン選びで後悔しないための参考になれば幸いです。最新の情報はホテル川久公式サイトをご確認ください。
目次
1.事件性はなし!最悪評価・口コミはごく少数|ホテル川久の気になった点
(1)目立った事件はないが、経営破綻に陥った過去がある
ホテル川久は2025年時点で、宿泊者の安全に関わるような重大な事件は起きていません。
ただし、1995年に経営破綻した歴史があります。現在は新たな運営体制のもと安定して営業しており、宿泊体験に支障はありません。
(2)王様のビュッフェでの服装は浴衣やサンダルはNG
ホテル川久の目玉のひとつは、王様のビュッフェです。
チェックインの際にスタッフの方から服装についても案内がありますが、ビュッフェレストラン「フォルナーチェ」では浴衣やサンダルはNGとなっています。
そのため、夕食時にはスマートカジュアル寄りの服装(ワンピース、シャツ、きれいめパンツなど)を意識すると安心です。朝食は比較的ラフでも問題ありませんが、周囲の雰囲気も考えると清潔感のある服装が望ましいでしょう。

不満というより注意点として語られることが多い印象です
(3)楽しみつくしたいなら過ごし方に工夫が必要
見どころが多すぎて、1泊ですべてを堪能するのが難しいと思いました。
ホテル川久を楽しみつくしたいなら、事前にある程度スケジュールを組むことをおすすめします。
私たちは帰宅してから「こんなところもあったの?」となった場所がいくつありました。

見落としを予防するなら、パンフレットを片手に館内を回りましょう!
2.【写真あり】ホテル川久のよかったところ!どこを見ても芸術ばかりの異世界

(1)歩くだけ、見渡すだけで感性が刺激される空間
「歩くたびにどこに目をやるか迷う」。ホテル川久はそれほど特別なものに囲まれた空間です。
すべてが印象的なのに、絶妙に調和してホテル川久を織りなしているのが凄いところ。主だった見どころを紹介します。
①外観:瓦・煉瓦・ウサギの彫刻

訪れた日は快晴で、ホテル川久の屋根に敷き詰められた「瑠璃瓦(るりがわら)」が陽光を受けて輝いていました。色は「老中黄(ろうちゅうき)」という、中国皇帝だけに許された特別な色。なんと47万枚もの瑠璃瓦が使われており、1枚1枚に川久のマークが刻まれているという徹底ぶりです。これは歴史的にも極めて珍しく、瓦の制作にあたってはオーナー自ら中国に21回も赴いて交渉を重ねたとのこと。ロビーでは、実際にこの瑠璃瓦に触れることができます。
煉瓦はイギリスのIbstock社製で、73種類140万個の様々な煉瓦が緻密にデザインされています。おそらく、最も間近で見られるのは客室に入ったときでしょうか。手作業と知ったうえでこの繊細で美しい配列を眺めると、人類の技術に無限の可能性を感じられます。
象徴的なのが、宙を跳ねるように立つウサギの彫刻。英国の現代彫刻家バリー・フラナガン氏によるもので、彼の作品のなかでも最大級のスケールを誇ります。まるで空へ飛び立とうとするかのような軽やかさが印象的です。
②ロビー:天井・床・柱

天井には手作業で金箔が押されており、その面積は1056.97㎡。2020年には手作業による金箔表面積の最大記録でギネス記録に認定されています。朝には太陽のような温かみ、夜には月のような静けさを感じさせ、黄金一色でありながら不思議と落ち着きのある空間を生み出しています。
足元には、ローマンモザイクがびっしりと敷き詰められており、こちらもすべて手作業によるもの。近くで見ても、2階から見下ろしても、その精密さと緻密な美しさに圧倒されます。まさに隙のない設計美です。
ロビーの柱は、深い群青色が特徴的。これはヨーロッパに伝わる希少な技術を、日本の職人が再現したものだそうです。金箔の天井とモザイクの床のあいだにあっても、その存在感は際立ち、まるで地球を象徴するような高貴な青が空間全体に静謐さを添えていました。
③展示物
横山大観(日本画)、シャガール(幻想絵画)、ダリ(シュルレアリスム)など、世界の巨匠たちの作品が並びます。
私設美術館であり泊まれる美術館でもあるホテル川久には、ひとつの美術館並みの作品数が展示されています。展示物は主に2階に展示されており、なんと1室すべてが展示物となっている部屋も。
宿泊中は赴くままに眺めることも可能ですが、コンシェルジュによるミュージアムツアーも毎日開催されているので、体系的に作品を感じたい方にはツアーの参加がおすすめです。

骨董も展示されているので、もしかしたら後に凄い値がつくようなものを拝めるかもしれません。時代や出自が異なる作品が混在しており、まるで文化のタイムカプセルを歩くような気分に浸れます。
ちなみに、ロビーには2世紀のシリアで作られた歴史的にも極めて希少なビザンチンモザイクが埋め込まれています。

(2)王様のビュッフェは王様が食べても納得するであろう美味しさ

王様のビュッフェでいただくものすべてが、本当に美味で驚愕しました。
マグロをはじめとする魚介が鮮烈に美味しいのはもちろん、肉料理も抜群に美味しい。夫はローストビーフがお気に召したらしく、3回もおかわりしました。特に、川久の黒カレーとステーキ、お寿司、ホタテの前菜、コーヒーゼリーが大変美味でした。
しかも、オムレツやお寿司などメニューによっては目の前で調理してもらえます。なので、出来立てにこだわりがある人もこの王様のビュッフェは満足度が高いものとなるでしょう。
(3)スタッフ対応はかなり丁寧、ウェルカムドリンクのサービスもある
川久の敷地に入ってから、出るまで、スタッフ対応に不満を抱くことはありませんでした。
また、宿泊者は14時から無料でフリードリンクとお菓子を楽しむことができます。フリードリンクにはアルコールも含まれており、ハイボールや梅酒などを楽しむことが可能です。香り豊かなスコッチを楽しむことができ、早速ラグジュアリーなサービスを堪能いたしました。
3.ホテル川久の温泉情報|楽しみ方のヒントになる感想もあわせて紹介!
ホテル川久の温泉は2種類あり、男女入れ替わり制での日替わりです。また、部屋風呂もあります。
宿泊予定日がどうなっているかは、ホテル川久に問い合わせると確認できます。
泉質などはそれぞれ共通しているため、以下にまとめました。
| 泉質 | ナトリウム・塩化物・炭酸水素塩泉 |
| 源泉の泉温 | 64.2C |
| 入浴可能時間 | 5:00~10:30/13:00~23:30 |
| 設備 | 露天風呂・内湯・サウナなど |
| 日帰り入浴 | ◎可能 大人 3,000円 高校・大学生 2,800円 中学生 2,000円、小学生以下1,000円、幼児無料 ※18時以降は大人(中学生以上)2,000円、小学生以下1,000円 |
| サウナ | あり |
また、どちらの温泉にもアイスが無料で食べられるサービスがあります。
(1)ロイヤルスパは1人でも複数名でもゆったりと過ごせる
ロイヤルスパは、邸宅のリビングがコンセプトです。
暖炉を囲んで複数名で座ることも可能な一方で、個室風のシャワー室もあるため、複数名でも1人でも心置きなく楽しめます。
(2)悠久の森は露天で非日常感を高めて内省したい方におすすめ
悠久の森は和洋を組み合わせた趣で、ゆったり過ごせる露天風呂と内湯が見どころです。
こちらにはバレルサウナがあり、森の中にあるような雰囲気がさらに非日常感を高めてくれます。
内湯には、不老長寿の願いを表現した漢詩と絵が飾られており、この大浴場でも芸術に触れることができます。
4.ホテル川久に1泊したときのプラン|周辺観光スポットもあわせて紹介
| 1日目午前 | 出発 |
| 1日目午後 | 11:30 とれとれ市場を散策・昼食 12:30 崎の湯に訪れる 14:00 ホテル川久到着 15:00 チェックイン 19:00~ 夕食 |
| 2日目午前 | 10:00 チェックアウト |
今回はホテル川久を目的に白浜に訪れました。
とれとれ市場のイートインは、なかなかの穴場でした。
特に魚のお出汁をふんだんに味わえる汁物は、魚好きならぜひ味わっていただきたいと思います。
その他にもお土産売り場も充実しているので、お土産をとれとれ市場で購入するのもおすすめです。
崎の湯は記録上、日本最古の温泉です。
万葉の時代にもその存在が記されており、古に思いを馳せつつ大海原に面したダイナミックな温泉を楽しむことができます。こちらは温泉好きなら、わざわざにでも訪れていただきたい希少性と心地よさを両立できる場所です。
崎の湯については以下の記事をご覧ください。
5.ホテル川久の総評|最悪どころか最高の思い出になりました
安くはありませんが、この価格で異世界に行けるならコスパは良いかと感じました。
地球上のどこを探しても、ホテル川久と似た場所は恐らくありません。世界中のスペシャリストがここまで一つの場所に技術を結集しているのも、好景気な時代に建てられたからこそ。
ホテル川久なら、唯一無二のラグジュアリー体験を通じて、一生の思い出作りができます。
1泊では堪能しつくせないほど楽しみ方が豊富なので、ベテランの旅人さんもこれまでにない体験ができるかと思います。
6.あとがき
白浜に訪れるのは10年以上振りで、かつては住んでいた土地でした。
子どもの頃ホテル川久を見たときに「あれはなに?」と父に気いたとき「あれはお金持ちしか止まれないお城」だと聞かされたことがありました。
あれから時が流れ、大人になった私が夫とともに川久を訪れ、実際に滞在できたことは、ひとつの長い伏線を回収するような、不思議な喜びに満ちた体験でした。



